コインチェック の運営と対応の真実〜本質を理解するとすべてに説明がつく〜

コインチェック からNEMが流出する事件が発生しました。

これにより市場、特に日本人ユーザーは大混乱し、仮想通貨の暴落を招く結果となりました。

中でも コインチェック  に自分の資産を預けていた人は約100万人にものぼるとも言われており、市場最悪のハッキング事件と報道されています。

この一件について、コインチェック経営の裏側と事件後の対応について迫ります。

 

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コインチェック は大量の仮想通貨を保有しているわけではない

コインチェックは顧客から預かっていた法定通貨(日本円)の返金とNEMの補償をするだけの余裕があるということです。

これに関して、様々な憶測があがっています。

その一つが、以前からコインチェックが調達してあった仮想通貨のストックを利確することで返金に充てているというものです。

この説は有力とは言えないでしょう。

2017年の下半期は誰も想定できないほど市場が盛り上がりました。

それを見越してのストックを用意することは不可能であります。

今回はまた別の説を検証していきます。

 

新規顧客からの入金額が莫大だった

実際は莫大な数の口座開設をさせたことで、多くの人によって法定通貨(日本円)が入金されたことが大きいと考えられます。

初心者であるほど、入金額をすべて使い切って仮想通貨を購入しようとする傾向があります。

コインチェックのアプリには総資産が一目でわかる円グラフがあり、コインを購入すると即座に反映されるようになっています。

これはコインチェックにある一人一人の口座アカウントに実際にコインが入っているわけではなく、
単にシステム上の「購入扱い」となっているに過ぎないのです。

以下詳しく解説していきます。

 

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送金する時だけポロニエックスから調達

コインチェックは実体のないものを顧客に売っていました

外部への送金が発生した時にだけ、ポロニエックス(海外取引所)からその数量分のコインを調達する仕組みを採っています。

なぜこのようなシステムが成り立つかというと、顧客によるコインチェックから外部への送金ニーズはほとんどないからです。

感覚的な数値で言えば、およそ10%〜20%にとどまるでしょう。

安全性の高いハードウェアウォレットは高額であり、
初心者にとって資金を移動させることは難しく感じられることであります。

外部への送金についても、他の取引所への送金ケースがほとんどだと思われます。

今や当たり前となっている
「取引所に置いておくなんてありえない!」ということを多くの人がしていたのです。

よくわからない初心者は、コインチェックがもっとも安全だと思っていたところもあったのでしょう。

 

実際には顧客に付与されていなかった

いわゆる出川組によって流入した資金を1兆円と仮定し、
その内7000億円が顧客の買い注文によってコインに替えられていたとします。

しかし実際に外部への送金がなされたのが1400億円程度だとしたら、
日本円として残っている3000億と合わせて8000億円の現金がコインチェックには残ります。

これにより、会社には多額の現金が留保されるということになります。

コインチェックは顧客から買い注文を受けてただちにそのコインを調達していたわけではないということです。

ましてや在庫を持ってそこから売っていたわけでも、コインをあらかじめ保有していたわけでもありません。

つまりコインチェック内で私たちが仮想通貨を購入したとしても、
ブロックチェーン上に取引データが記録されているわけではないということです。

これは時間的にあり得ないことであり、取引所のシステムの中で数字だけがただ動いているにすぎないのです。

私たちが買ったと思っていたコインは、実際には保有している状態ではなかったのです。

仮想通貨は取引の承認スピードが速いと言われていますが、本当はそのようなことはありません。

取引の承認には膨大な時間がかかるという前提を踏まえると、
「買うのはすぐだけど、外に出すのは遅い」という現象に説明がつきます。

 

ブロックチェーンにすべての記録が残っている

コインチェックが自社で仮想通貨を保有しておらず、
送金の申請があった時にポロニエックスから仕入れている件については、
誰もが閲覧できるブロックチェーン上に大型注文の履歴が残っていることから明らかです。

それも、2017年5月に高騰した約2か月後にポロニエックスから調達している記録があることが何よりの証拠となります。

しかしながら、先に述べたように外部への送金を求める顧客は非常に少ないものです。

正確な数値はわかりませんが、1兆円の入金に対して70億円ほどしか調達する必要がないとの見方もあります。

このモデルでは現金が大量に流れ込むようになっているのです。

コインチェックが株式投資における「空売り」と同じことをすることで円滑な運営を実現していたのです。

 

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コインチェック は相場が下がると儲かるビジネスモデル

勘違いされることが多い点がもう一つあります。

コインチェックのビジネスモデルは、価格が下がると儲かり、価格が上がると損をするという仕組みになっています。

なぜなら市場が高騰してしまうと、調達時に顧客から得た金額以上を払わなくてはならないからです。

しかし相場が下落したため、
コインチェックが信用できなくなった2月以降に顧客から送金要請があった時に、
12月に高値で購入してしまった人は損をし、
安い価格でポロニエックスから調達するコインチェックは儲けることができます。

単純に顧客が入金した額を7000億円とし、出金に伴って海外から調達する際にかかる費用が2000億円だとすれば、
差額の5000億円はコインチェックの儲けとなります、

今後、コインチェックはさらに一儲けするでしょう。

 

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急激な上昇相場でコインチェックがつぶれなかった理由

ここで一つ疑問が浮かび上がります。

1月中旬までの急激な上昇相場において、なぜコインチェックは潰れなかったのでしょうか。

先の通り、相場が上昇すればコインチェックは損をしてしまいます。

この問いに対する答えが2つあります。

一つは、冒頭から述べているように、出金を申し出る顧客が少ないことです。

二つ目は、アフィリエイトサービスなどもあって新規ユーザーがどんどん参入してくることです。

俗にいう「出川組」ですね。

NEMが盗まれた翌日に、大塚取締役が日本円で460億円の補償を実行すると言えたのも、

出川組がみな損をしたことで生まれたお金があったからなのです。

コインチェックへの非難は当然ありますが、投資は自己責任です。

致し方のないことでしょう。

 

「空売り」をすることで無限に売り続けていた

一連のビジネスモデルへの批判もありますが、「空売り」という手法はどこの取引所も行なっています

在庫にある分だけ売るのが普通ではありますが、そうすると売り切れが発生します。

送金が遅いというのはもともと在庫がないからです。

少額送金が速い理由は、取引所内に在庫があるからです。

しかし送金手数料が高いため、多くの人はまとまった額を送ろうとします。

ビットトレックスやポロニエックスの送金スピードが速い理由は、
自社で現物の仮想通貨を持っているからです。

 

なぜ本質的な仕組みが公にならないのか

こうした取引所の運営については法的なルールがなく、金融庁も仕組みをわかっていません

コインチェックがこうした実情を会見で説明できない理由は、非常にグレーなことをしてきたからです。

金融庁も立入検査をするものの、はっきりとした検査結果を公表しないのは、理解ができず判断が下せないからでしょう。

合理的な説明をすれば、かえって世間の反感を買いかねません。

事業の継続のために隠し通そうとしている可能性もあります。

 

とにかく時間を稼ぎたいコインチェック

コインチェックは最初の会見で「顧客の資産が毀損する可能性がある」としながら、翌日には「NEMの補償をする」と表明しました。

時間をおいて確認しなくてはならなかったことがあったため、このような対応になったのです。

それは、

①ユーザーがどれくらいのコインを保有しているのか
②会社の資産がどのくらいあるのか
③ユーザーがどのくらいの法定通貨(日本円)を持っているのか

ということです。

NEMの流出は確かにシステム上の不備が原因ではありましたが、それらの態勢を整えたいという思惑が一番にあったわけではありません。

真っ先に全ユーザーのアカウントを凍結させ、計算に時間を使いたかったのです。

そして運良く下落相場であったこともあり、今の状態でも法定通貨(日本円)の出金と海外からの仮想通貨の調達をすることができるとの判断に至ったのでしょう。

社長や取締役ですら最初の会見では把握できていなかったため、翌日の補償表明となりました。

 

訴訟を起こされないよう日本円だけ返金

何より法定通貨(日本円)の出金を急いだのは訴訟リスクを回避するためであったと思われます。

仮想通貨の返還請求には判例や裁判例がなく、弁護士にとっても引き受けにくい案件です。

実際、訴訟となれば時間や費用がかかってきます。

システムの整備よりも優先して手を打たなくてはならなかったという方針がうかがえます。

 

ビットコインのみ取引を再開した理由

その後、ビットコインのみの取引再開へと動いた理由は、コインチェックにビットコインが不足していたからではないかと見られます。

アルトコインと同様に海外からの調達をすることもできますが、200万円付近で購入した顧客に損切り(売り)させて手に入れる方が速いという判断があったのでしょう。

これに関しては、コインチェックに対する不信感を逆手にとった戦略であるという見方もできます。

いち早く売って仮想通貨から手を引きたいという初心者の気持ちを利用した可能性もある一方、
何らかの理由で海外から調達できなかったということも考えられます。

 

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私たちはこれからどうするべきなのか

今後も仮想通貨への投資を続けていくというのであれば、本質的な部分をしっかりと理解しなくてはなりません

もっとソフトな部分で言えば、しっかりと資産を守るためにウォレットなどに移しておくべきでしょう。

いずれにしても、今回の教訓はある意味では日本人の目を覚ませることに寄与したと言えるでしょう。

世の中はそんなに甘くはないということをはっきり突きつけられた事件となりました。